研究概要 |
ミトコンドリアタンパク質の多くはサイトソルにおいてプレ配列を持つ前駆体として合成される。これらの前駆体はミトコンドリア外膜上の膜透過装置複合体により認識され、外膜および内膜を透過した後にプレ配列が切断され成熟体となる。外膜上の膜透過装置複合体の解析は主に酵母の系で解析が進み、Tom40,Tom22,Tom20,Tom40および低分子量のTomなどが同定されていたが、これまで、高等生物においてはTom22のオルソログは同定されていなかった。本研究においては、Tom22のヒトオルソログの同定、および、機能解析を行った。その結果、ヒトTom22はアミナ末端領域をサイトソルに、カルボキシ末端領域を膜間スペースに露出し、中央部に膜貫通領域を持つミトコンドリア外膜タンパク質であることが示された。Tom22はTom20とコンプレックスを形成し、Tom22のサイトソル領域は前駆体タンパク質を認識するレセプターとして機能することが示された。以上の結果は酵母で見いだされていたTom22の特徴に合致する。さらに、前駆体タンパク質とヒトTom22の変異型を用いた解析から、ヒトTom22のサイトソル領域あカルボキシ末端側はプレ配列の結合に、アミノ末端側の領域は成熟体部分の結合に重要であることが示された。また、Tom20は前駆体タンパク質と主にプレ配列を介して結合するのに対して、Tom22はプレ配列と成熟体部分の両方を介して結合することが示された。
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