・ショウジョウバエpoly(A)polymeraseの遺伝子であるhiiragi(hrg)の表現型を変容しうる新規の変異体を検索するために、薬剤処理したhrg変異体、計2756系統を作成し、24系統の候補を得たが、このうち22系統は表現型が遺伝しなかった。残りのうち1系統は、hrgの変異が存在しなくても表現型を持つことから目的の変異体ではなかった。別の1系統はhrgの翅の欠失の度合いを増加する変異体であり、この遺伝子の変異単独でも羽の欠失が観察されたが、Notch遺伝子座の重複を持つ染色体の導入によってこの表現型が抑制されたことからNotch遺伝子の変異であることが示唆された。 ・hrgの表現型がpoly(A)polymeraseの活性の異常によるものであるかを調べるために、poly(A)polymeraseの酵素活性を失った蛋白質をコードする融合遺伝子を2種作成した。これを用いてhrg表現型の救済を試みたが、表現型は救済されなかった。この結果より、hrgの表現型はpoly(A)polymerase活性の異常(活性の低下)によることが示唆された。この成果は、論文としてDevelopmental Biology誌に投稿し採択された。 ・Poly(A)polymeraseとともにpolyadenylation complexを形成する蛋白質をコードする遺伝子[su(f)およびCPSF160]の変異体とhrg変異体の二重変異体を作成し、hrgの表現型への影響を解析したが、これらとhrg単独の変異との間で顕著な表現型の差異は観察されなかった。
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