ポリグルタミン病では、その原因遺伝子産物中の伸長したポリグルタミンが、不溶性の凝集体を形成し、細胞に障害を与える原因である。この凝集体形成の解明を、出芽酵母にポリグルタミンを発現させる系を用いて試みた。ポリグルタミンは酵母内でも、不溶性の凝集体を形成する。しかし、AAA+superfamilyに属する分子シャペロンHsp104の変異株では、凝集体が効率よく観察されず、ポリグルタミンは水溶性画分に分画される。野生株では、ポリグルタミンは発現後水溶性の状態をとり、その後、ポリグルタミンの長さ、発現量に依存して、不溶性の凝集体を形成する。しかし、Hsp104の変異株では、この水溶性の状態から不溶性への変換が起きにくくなり、凝集体の形成に分子シャペロンが促進的に働いていることが示された。ただし、ポリグルタミンの長さが長くなるほどHsp104非依存的に、凝集体形成がみられた。したがって、ポリグルタミンの凝集体形成は、ポリグルタミンの長さ、発現量、Hsp104のパラメーター間のバランスによって、決められる事がわかった。
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