先天性水頭症発症(HTX)ラットを用い先天性水頭症に関連する発現遺伝子のクローニングを企画した。 1.HTXラットおよび対照ラット(非発症個体)の脳よりmRNAを得た。 2.Differential display法により同一週齢の水頭症発症個体と非発症個体の脳のmRNAの比較を行った。 3.水頭症発症個体に発現するmRNA由来のcDNA断片を得た。 4.これらのcDNA断片をもとに塩基配列を検索した。 5.塩基配列の確定したcDNA断片の多くは既知の塩基配列であり、少数のcDNA断片は未知の塩基配列であったが、cDNAライブラリを用いて後者の完全長cDNAクローンを確定した。 6.新規遺伝子を確定し、それが水頭症発症に密接に関与することを検定した。 7.水頭症発症の原因遺伝子候補にイオンチャネル型神経伝達物質受容体がある。In silicoクローニング法により、リガンド作動性イオンチャネル型受容体の新規遺伝子をクローニングした。 8.現在、本遺伝子の脳内特異的発現について、ノザンブロツト法、in situハイブリダイゼーション法、免疫組織化学法によって解析を実施した。 9.結果的に水頭症との関連が濃厚になれば、本遺伝子の変異を動物に導入する。この目的で本遺伝子のゲノムマップを行ったところ、第17番染色体に局在することが判明した。
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