研究概要 |
(1)各種の受容体に応用できる融合タンパク質の構築法の検討 リガンド検索のモデル実験となるノシセプチン受容体-Gi2α融合タンパク質を用いたブタ脳中のノシセプチンの検出に成功した。この手法による生体内リガンド検索法は十分な感度を持っていることが示された。しかしGqα,G16αとの融合タンパク質はリガンド依存的な反応を示さず、Gqと共役した受容体については我々の手法を適応することが困難であった。以上のことから、新規GPCRについてはまずGiとの融合タンパク質を作成して活性測定を行い、それらがGqと共役する場合を考慮して従来の細胞を用いた活性測定法を併用することとした。 (2)新規受容体遺伝子のクローニング GPCRが7回膜貫通という共通の構造を持つこと、味覚、嗅覚受容体以外の既知GPCRは6割程度がそのORF中にイントロンを持たないこと、という2つの事実を利用して、ヒトゲノムデータから新規GPCRの検索を行った。ヒトゲノムシーケンスから抽出したORF(Open Reading Frame)をタンパク質の膜貫通領域を予想するプログラムSOSUIで解析して、膜貫通領域を6-8回持つ物を選びだした。この中から50種類の味覚、嗅覚受容体以外の新規GPCRと考えられる配列を得ることができ、得られた新規GPCR遺伝子についてクローニングおよびGi1αとの融合タンパク質の作成を行なった。すでに約20個程度については完了し、これらについてリガンドのブタの脳抽出画分および既知生理活性物質を対象にスクリーニングを開始した。残りの新規GPCR遺伝子についても引き続き融合タンパク質の作成を行っている。
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