脳に特異的なペプチドトランスポーターPHT1の単離に続き、PHT2の単離に成功した。PHT2は582アミノ酸からなり、PHT1と約50%の相同性を示した。疎水性プロットより7回の膜貫通部位を有すると思われ、PHT1のファミリー遺伝子と考えられた。次に細胞内局在を検討したところ、トランスフェクションした細胞では、光顕及び電顕にてその局在がライソゾームであることを突き止めた。これは初めてのライソゾームのペプチドトランスポーターの発見であり、新たなライソゾームのペプチド代謝の解明に貢献するものと期待される。リポゾームを用いた取り込み機能解析ではプロトン依存性に、ヒスチジンおよびジペプチドを取り込むことがわかっている。温度依存性もみられ、この蛋白がトランスポーターとして機能していることが証明されたが、その親和性、基質特異性などについては現在解析中である。またin situ hybridization法による解析では血球系の細胞にも発現が見られ、幅広い生理的な機能が示唆される。 以上よりPHT2は脳に特異的に発現するPHT1と比較し、かなり個性的な特徴を有していることがわかった。おそらくPHT2はペプチダーゼにより分解されたオリゴペプチドをcytosol内に放出しているのであろうと考えられる。これがニューロンおよびグリアで実際にどのような意義を有しているか、またmRNAおよび蛋白の正確な臓器局在の解析などを翌年度に取り組む予定である。
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