以下の二つの研究をすすめた。一つめとして、言語情報と非言語コミュニケーションの情報が脳内でどのように処理されているのかを調べるため脳機能画像研究を行った。刺激として、顔の動画を用い、言語刺激には読唇、非言語コミュニケーションの刺激には表情、コントロール刺激には静止画を用いた。課題としては、1)言語課題:口の形から「あ」や「う」などを区別する、2)非言語コミュニケーション課題:笑顔か嫌悪の顔かを区別する、3)コントロール課題:男性の顔か女性の顔かを区別する、の3つの課題を用いた。コントロール課題と比較して、脳のどの領域の活動が盛んになるのかを固定する。脳活動の測定は機能的核磁気共鳴画像装置(fMRI)を用いた。現在刺激作成が終了し、データ収集をすすめている。二つめとして、新生児の表情の表出の左右差の研究を行った。生後一ヶ月齢までの新生児が表出する表情をビデオ撮影し、右顔面と左顔面のどちらがより強い表情を表出するのかを調べることで、コミュニケーションに関する脳機能の左右差が生得的に備わっているのか生後発達の過程で獲得されていくのかを明らかにする。データ収集をすすめている。
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