研究課題
LTPに伴い発現誘導されるタンパク質Vesl-1S/Homer-1aは、mGluR1/5と相互作用する分子である。本研究は合成されたVesl-1Sがどのような分子機構を通じて機能すべきシナプスに輸送されるのかを知ることを目的とする。海馬初代培養において、Vesl-1Sの免疫反応(Vesl-1S-IR)は比較的拡散的に存在しているのに対し、phorbol ester(PMA,PDBu)で処理することにより、神経細胞の細胞体周縁部でドット状のVesl-1S-IRが出現した。抗シナプトフィジン抗体との共染色からドット状のVesl-1S-IRシナプス領域であること、さらに電子顕微鏡による観察からシナプス後領域であることがわかった。PMA処理により、Vesl-1Sのタンパク量は1.5倍程度増加するが、タンパク質の新規合成を阻害するアニソマイシンの投与によりVesl-1Sタンパク量の増加をブロックしてもPMAによるドット状構造の出現は観察されたことから、PMAによるドット状構造の出現がタンパク量の増加と局在変化の両方に起因していることが明らかとなった。phorbol esterによるVesl-1S-IRの変化が神経活動によっても起きるかどうかを調べるために、90mMKClで刺激をしてVesl-1S-IRを評価した。その結果phorbol esterと同様に神経細胞の細胞体周縁部にVesl-1S-IRの蓄積が観察された。
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