申請者らの考案した、arbitrarily-primed-representational difference analysis(AP-RDA)マーカーは、多数の個体の高速な遺伝子型決定に適するゲノムマーカーである。さらなるhigh throughputな遺伝子マッピングシステムを構築するために、AP-RDAマーカーとゲノムDNAのAP-PCR産物とのハイブリダイゼーションを、電極と、二本鎖DNAと結合しかつ電気分解される化合物(electrophore)とを用いて、電流の計測により検出することを目的とした。本年度の成果として以下の結果を得た。 1.30個のAP-RDAマーカーの塩基配列を決定し、配列の一部から、20〜60merの一本鎖DNAのAP-RDAマーカーを合成した。 2.従来の化学発光法を用いて、1で合成した一本鎖AP-RDAマーカーのハイブリダイズを検証した。その結果、AP43b A11マーカーの配列の一部の40merが、AP43bA11マーカーの全長と同様にハイブリダイズすることがわかった。 3.2で検証した40mer一本鎖AP-RDAマーカー(AP43bA11-1)をmercaptohexyl基を介して金電極に固定した。金電極を、一本鎖に変性したAP-PCR溶液に2時間浸し、ハイブリダイゼーションを行った。二本鎖DNAと結合するelectrophoreとしては、Hoechst33258を用いた。洗浄後、サイクリックボルタメトリーを用いて電流を計測することにより、電極上に残った二本鎖DNAを定量した。その結果、感度が不十分であるため、再現性よく、安定してハイブリダイズを検出するには至らなかった。 今後、ハイブリダイゼーションの条件、使用するelectrophoreを改良することにより、安定したハイブリダイゼーションの検出を目指す。
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