研究概要 |
High throughput遺伝子マッピングシステムを構築するために、申請者らの考案した、arbitrarily-primed-representational difference analysis(AP-RDA)マーカーとゲノムDNAのAP-PCR産物とのハイブリダイゼーションを、電極と、二本鎖DNAと結合しかつ電気分解される化合物(electrophore)とを用いて、電流の計測により検出することを目的とした。 これまでは二本鎖DNAと結合するelectrophoreとして、従来から用いられているHoechst 33258を用いたため、検出感度が不十分であった。本年度は、より感度の高いFerrccenyl naphthalene diimideを用いた。 1.AP43bA11マーカーの全長と同様にハイブリダイズすることを検証した40mer一本鎖AP-RDAマーカー(AP43bA11-1)を、mercaptohexy1基を介して金電極に固定した。この電極を、一本鎖に変性したAP-PCR溶液に浸し、ハイブリダイゼーションを行った。室温5時間のハイブリダイゼーション後に、differential Pulse Voltammogramsで電流を測定したところ、BUF系統由来のAP-PCR溶液では、ハイブリダイゼーション前後の応答電流増加率95%、ACI系統由来のAP-PCR溶液では、応答電流増加率0%となり(印加電圧260mV)、明瞭に遺伝子型(ACI型orBUF型)を決定することが出来た。 2.AP43bA11マーカーの別部分の配列(AP43bA11-2,3,4)を用いても、1.と同様に遺伝子型を決定することができた。 3.ハイブリダイゼーションを2時間とした場合は、応答電流増加率平均40%と低く、ハイブリダイゼーションの条件に改良が必要であることがわかった。 以上の結果により、システムとして稼働するには、多くの課題を残すものの、AP-RDAマーカーによる遺伝子型判定が電流の計測により可能であることを示すことができた。
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