超音波技術等を導入した高性能な光生体計測技術の完成を目的として、局在的に照射された超音波による散乱粒子の振動の評価および振動周辺の光学特性の評価を中心に行った。結果は以下のようにまとめられる。 ・低コヒーレント光干渉法による振動中心と光入出射点間の光学特性検出に関する評価 前年度の結果を踏まえて、超音波の焦点と光の入出射点間を散乱成分を除き光軸上の光学特性を取得する手法を超音波照射と低コヒーレント光干渉法を組み合わせる方法を用いて検討を進めた。従来の低コヒーレント光干渉法で用いられる可干渉距離数10μmの光源では到達深度が小さいため、より可干渉距離の長い光源により到達深度が大きくする必要がある。本研究において、可干渉距離4mm程度のTi:Sapphireレーザを用いることを検討した。その結果、無散乱状態において、従来の光源と同様に変調信号を検出することが可能であることが明らかとなった。 次に、現状において不明である長い可干渉距離の光源を用いた場合における、散乱係数に対する干渉強度の評価を行い、到達深度について検討を行った。その結果、干渉強度自体は可干渉距離4mmでは、数10μmの場合より散乱係数の増加に対して減衰の割合が小さいが明らかとなり、到達深度として可干渉距離4mが有利である可能性が得られた。 以上の結果より、超音波照射と低コヒーレント光干渉法を組み合わせる方法より空間分解能mm程度、到達深度数cm程度の光生体計測法の可能性が見出された。
|