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2001 年度 実績報告書

生体内微小pH変化を認識する樹木状多分岐高分子の創製と医薬キャリアーへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 12780645
研究機関東京都立大学

研究代表者

朝山 章一郎  東京都立大学, 工学研究科, 助手 (90315755)

キーワードpH / 樹木状多分岐高分子 / 医薬キャリアー / SOD / 金属ポルフィリン錯体 / ポリ(L-ヒスチジン) / 糖クラスター / 脂肪族第一級アミノ基
研究概要

生体内恒常性の乱れは、種々の疾病を誘発する。恒常性の乱れた部位を特異的に認識した上で、治療効果のある薬物を送り込むことが望まれる。血流フリーラジカル発生に伴う組織微小循環や好気性エネルギー代謝の影響により、局所pHの低下が認められる。そこで、pH応答性セグメントを有する樹木状多分岐高分子医薬キャリアーの設計、及び、その内包医薬、スーパーオキシドラジカルを不均化するスーパーオキシドジスムーターゼ(SOD)モデル化合物、の合成を行った。
前年度合成した医薬キャリアー前駆体であるアミノ化ポリ(L-ヒスチジン)への糖鎖修飾、すなわち、マルトペンタオースの導入を行った。^1H NMRによるキャラクタリゼーションの結果、アミノ基導入率は約14%と見積もられたが、この導入率においては、ポリ-L-ヒスチジン固有の物性を維持していた。つまり、生理pH7付近においては、脱プロトン化したイミダゾール基を有するため非水溶性を示し、pH6付近においては、プロトン化により水溶性を獲得した。ところが、糖鎖導入により、キャリアーの生理pHでの水溶性が向上した。生理pHにおいては、脱プロトン化したポリ-L-ヒスチジンがミクロな疎水環境を形成していることが示唆された。
また、前年度合成したSODモデル化合物、糖クラスターを有するマンガン(Mn)ポルフィリン錯体、の糖鎖認識性を検討した。レクチン固定化カラムを用いた特異的糖鎖結合実験を行った結果、糖鎖を有さないMn錯体の低結合性(約10%)に対し、糖鎖修飾した錯体は約60%の結合性を示した。
従って、得られたpH応答性医薬キャリアーと糖鎖認識性を有するMnポルフィリンSODモデル医薬とを軸配位させた超分子を得ることにより、恒常性を乱す原因物質自体、及び、その産生場所の二重ターゲティングが期待される。故に、治療工学へ新たな展開を導くものと考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Shoichiro Asayama et al.: "Bi-Phasic Polycation for the DNA Carrier Responding to Endosomal pH"Colloids and Surfaces B : Biointerfaces. Vol.22. 183-191 (2001)

  • [文献書誌] Shoichiro Asayama et al.: "Design of the Artificial Enzyme Controlling Reactive Oxygen Species for Active Targeting"Memoirs of Graduate School of Engineering Tokyo Metropolitan University. No.51(印刷中). (2001)

  • [文献書誌] 朝山章一郎 他: "種々のリガンド分子修飾可能なSOD活性を有する金属ポルフィリン錯体の設計"Drug Delivery System. 16・4. 346 (2001)

  • [文献書誌] 朝山章一郎 他: "脂肪族第一級アミノ基クラスターを有する金属ポルフィリンの糖鎖修飾及びSOD活性評価"Polymer Preprints, Japan. 50・5. 1068 (2001)

  • [文献書誌] 朝山章一郎 他: "SOD活性を有するMnポルフィリン錯体への糖鎖認識性及びカタラーゼ活性の付与"Polymer Preprints, Japan. 50・14. 3601-3602 (2001)

  • [文献書誌] 朝山章一郎 他: "Mnポルフィリン-カタラーゼコンジュゲートの設計及び酵素活性評価"Polymer Preprints, Japan. 50・14. 3655 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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