血液透析膜は大孔径化、薄膜化をとげ、さらに透析液を補充液として使用する濾過型血液浄化法が普及した。これにともない、透析液汚染の原因物質であるエンドトキシンが拡散、逆濾過で血液側に流入する危険性が危倶され、また補充液としての透析液清浄度が議論されるようになった。特に、濾過型血液浄化法は透析液を血液に補充するため、積極的にエンドトキシンを管理しなければならず、そのため透析中にエンドトキシン濃度を監視する必要がある。 こうした背景から、試薬注入から混合・反応・計測のすべての操作を単管内で行えるインラインモニタリングシステムの開発に取り組んできた。新たに6連バルブ型インラインモニタリングシステムを考案した。リムルス試薬をエンドトキシンフリーな容器に分注しておき、試薬専用のチューブから試薬を吸引することで、装置の気密性が高まり、注入時に起こるエンドトキシンの混入を防止できる。この6連バルブ型インラインモニタリングシステムを用いて、水溶液および透析液中におけるエンドトキシン検量線を作成した。また、改良型リムルス試薬について検討し、安定性を確認した。分離型、改良型いずれのリムルス試薬でも、高感度でエンドトキシン濃度を測定できた。さらに、改良型リムルス試薬を用いて、透析液で調製したエンドトキシン試料液においても0-30EU/1の範囲で測定できた。 さらに透析現場において本システムを試用した。透析器の透析液出口側に本装置を接続することで、透析治療中の透析液中のエンドトキシン濃度を実時間でモニタリングできた。透析液中エンドトキシン濃度は透析開始時に高く、透析時間の経過とともに低下していくことがわかった。今後、本装置を小型化し透析コンソールに組み込み測定を自動化すれば、透析治療をより安全に行えるようになる。
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