研究概要 |
本研究は、Binary Kernel法により視覚誘発電位を解析して得られる非線形成分(N次バイナリ核関数)と視覚M/P経路特性との関係を明らかにし、それをふまえた視覚M/P経路の機能評価方法を開発することを目的としている。本年度は、まずM/P経路の特性を生理学・医学分野の先行研究の調査から明らかにし、それを基に両系に最適な刺激を検討し、刺激装置を構築した。 視覚M/P経路は、視覚刺激の色度・コントラスト・時間周波数・空間周波数により、その反応特性が異なることが既に明らかにされている。特にコントラストの大小、および時空間周波数特性の大小によりM/P系の反応を分離検出して検討した報告が多い。一方、本研究代表者は、Binary Kernel法により視覚誘発電位の時間周波数特性を短時間で計測できる方法を提案(Momose et.al,1999)し、M/P系それぞれが特異に傷害される視覚疾患を対象とした測定によりM/P系の反応特性が得られていることを示している(Momose et.al,1998,1999,2000)。そこで、この時間周波数特性計測時の刺激を格子パターンとし、その空間周波数とコントラストを変化させることで、M/P系それぞれを選択的に刺激することとし、この刺激を実現できる刺激装置を構築した。パーソナルコンピュータ上で空間周波数(格子サイズ)とコントラストを指定することにより、カラーモニタに所望の刺激を発生させるものである。刺激パラメータを厳密に設定するために、カラーモニタの輝度・色度の時間変動について計測・調査した。
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