研究概要 |
人工股関節全置換術(以下,THR)において,術後の関節可動域の大小や脱臼の原因は人工臼蓋の設置角度と強い関連性があることが知られている.そこで,本研究は臼蓋を正確な角度で設置するための手術支援デバイスの開発を行っている. 3次元臼蓋設置角度決定装置は,装置本体と手術中に臼蓋を設置するデバイス部から構成されており,このデバイス部には3成分傾斜計を使用している.また,このデバイス部が骨盤上に規定した骨座標系との相対角度(姿勢)を検出し,臼蓋を目標とした角度に設置する仕組みとなっている. 今年度は,(1)2方向レントゲン撮影システムの製作,(2)臼蓋設置デバイスの作成,(3)画像解析ソフトの開発の3項目についてそれぞれ研究を進めた. (1):骨座標系の算出を行うために必要となる2方向レントゲン撮影システムの確立を目指し,2方向撮影用のカセッテホルダ,3次元位置の算出に用いるキャリブレーションマーカ,術中骨盤に設置するマーカの制作をそれぞれ行った.また,予備実験として,これらを用いて2方向レントゲン撮影を行い,マーカ設置位置の確認や不具合・改善点などの検討を行った. (2):デバイス部については3成分傾斜計を用いて動作確認を行い,手術時に取り得る患者の肢位について検討を行った. (3):2方向レントゲン撮影で得られた2枚のX線画像から,3次元情報を再構築し,デジタイズした解剖学的参照点から臼蓋の目標設置角を算出するソフトを開発している. 来年度は,各進捗状況に応じて不具合を検討し改善を行うと共に,本システムの信頼性について検討を行う.
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