研究概要 |
力学的刺激を受けた骨体のリモデリング機構の一端を明らかにするために,in vivo動物モデルを利用した実験と数値応力解析とを組み合わせた研究を行った.本年度は特に,ラット尾椎に対して機械的刺激を負荷したときに生じる骨形態変化を経時計測し,さらに適応リモデリングした骨体の応力分布の変化を明らかにすることを目的とした.このために,ラット第4,6尾椎に挿入したピンを介して第5尾椎に圧縮荷重を与えることが可能な動物モデルを作製し,高分解能マイクロCTによって骨形態を非侵襲かつ経時的に計測する実験系を確立した.これによって,同一個体,同一部位の骨形態変化を計測することが可能になった.機械的刺激によるリモデリング過程にある骨体の形態変化を,このように経時的に評価したという研究は過去に見受けられない.機械的刺激を与えられた尾椎では増殖性のモデリングが誘導され,皮質骨断面積の増加が認められた.マイクロCT計測画像や組織切片の観察により,皮質骨骨膜表面においてwoven boneの形成が認められた.さらに,剛体バネモデルと有限要素解析とを併用した二次元応力解析,尾椎のマイクロCT連続スライス画像をもとにしたイメージベース三次元有限要素応力解析によって,荷重を与えられた尾椎では荷重形態に対して応力分布の均一化や応力レベルの低減を目指した適応リモデリングが行われていることが示唆された.機械的強度が低く幼若ではあるが急速に形成することが可能なwoven boneを骨膜表面に形成し,機械的ストレス環境の急激な変化に対して適応を図ることが示された.
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