研究課題
2001年度は、観測井の掘削により得られたコアサンプルの観察と年代測定を実施し、750m深地質柱状図の作成を行った。その結果、札幌の堆積層中部に想定されている新第三紀鮮新世-中新世の西野層が262m深から750m深までの部分を占めていることが明らかになった。札幌市中心部では、この層が深さ1kmから2kmに分布していることから、この地点では西野層がより浅い部分に分布しており、なおかつ、西側山地にかけて急激に浅くなっている部分に相当していることが推定された。これは、重力探査などによって推定されている基盤(定山渓層群)の深度変化とよい一致を示す。ところで、この地点でも掘削を行った750mの深度では、堆積層下部の基盤にまでは達していないが、このことも他のデータから推定されていた結果と一致する。また、観測井に設置するボアホール型地震観測システムの検討を行い、観測井底でのテスト観測を実施した。地表で観測される人工的なノイズは、坑底では100分の1まで低減していることが確認され、本システムを用いることにより十分な高感度微小地震観測を実施することが可能であることが確認された。しかしながら、坑底での温度が45度と比較的高いために、実装する地震計に十分な温度対策を必要としており、現在、そのシステムの改良を行う作業を行っている。この他、札幌市東方に発達する褶曲地帯の活動度評価を実施するため、GPSを用いた地殻変動観測を実施するための準備作業を進めた。想定される活褶曲付近の地質資料および地震活動を検討し、最適なGPS観測点の配置を行えるような観測計画を策定した。また、使用するGPS受信機の性能試験も実施し、地殻変動観測を行うのに充分な性能を有していることを確認した。
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