研究課題
750mの観測井戸による地震観測は、順調に継続している。既設の北大の微小地震観測点、みすまいと、札幌市の500m観測井戸、前田・中沼・里塚の3観測点による4角形の観測網の中心に位置しており、札幌市直下の地震の震源決定に際して、深さの決定精度が向上した。この井戸が稼動してからの地震発生は、3個と少ないが、今後のデータの蓄積が待たれる。これまでの観測結果の再解析によると、微小地震の震源は、北西-南東の方向に並ぶことが、明らかになった。しかし、現在、札幌市中心部の集中域と南西部の集中域との間には明瞭な地震活動の空白域が認められる。これらと、今後明らかになっていく地下構造との比較が重要になってくる。また、観測井戸の掘削に伴うコアの観察によりこの付近の基盤の深さが決定され、東に向かって急激に深くなる境目に位置していることが明らかになった。また、同時に、流体資源ボーリングデータをできる限り、札幌およびその周辺に関連して収集し、解析を進めた結果、札幌中心部およびその北西地域の地下地質構造を明らかにできた。札幌市での山地から平野へかけて鮮新世地質面は急激に深くなっており、潜在的な西落ちの逆断層の存在が示唆される結果となっている。この結果は、詳細な重力データの再検討により明らかになった石狩低地帯北部の重力異常とも整合していることが明らかになった。潜在断層の存在は、かなり確かになったが、その活動度については、今後、地震のメカニズムの決定を進めて明らかにすることができると期待される。
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