研究概要 |
本研究は,アブレーションプルーム中微粒子の外部電磁界による発生・成長・挙動の制御を目的としている。昨年度は、磁界を用いたパルスレーザデポジション(PLD)法により,プラズマプルームが変化すること,それによってドロップレットの減少が可能であることを明らかにした。本年度は、まず大面積化に着目し、3インチ以上の大面積基板上に、不均一度2%以下の均一な薄膜が作製可能であること等を明らかにした。また、本年度は、この方法を用いて、下記の様な様々な薄膜の作製を行った。 1)cBN, CNなどの高硬度薄膜の作製を行った。磁界を用いた方法で、硬度の低減につながるドロップレットを減少させ、高硬度化を図った。この結果、結晶性の向上が確認され、薄膜の硬度向上がみとめられた。 2)H_2やCH_4などの可燃性ガスセンサに用いられるSnO_2薄膜の作製を試みた。この結果、高い結晶性を持つ薄膜ガスセンサの作製に成功した。このことは、酸素含有量が高い、ストイキオメトリックな薄膜の作製に成功したことを示唆している。これを用いたセンサーの感度は、最大9程度であり、純粋なSnO_2薄膜では、十分大きい値であった。 3)NOxガスセンサーとして注目されている、WO_3薄膜の作製を試みた。この結果、高い結晶性を持つ薄膜ガスセンサの作製に成功した。これを用いたセンサーの感度は、NOガスに対して最大100程度であり、ガスセンサーとして十分利用できることがわかった。 以上の成果は,JJAP(日)やThin Solid Films(米)等のジャーナルに報告し,従来得られなかった重要な知見を得たものとして,世界的に高い評価を得た。今後はプラズマプルーム中の定量的な計測を行い、高品質薄膜の作製との関連を詳しく行うとともに、上記薄膜の高品質化を図る予定である。
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