研究分担者 |
井上 徹教 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70311850)
押川 英夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80311851)
安達 貴浩 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (50325502)
井芹 寧 西日本技術開発(株), 環境部・研究開発課, 課長(研究職)
島谷 幸宏 国土交通省, 武雄工事事務所, 所長(研究職)
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研究概要 |
平成13年度は,平成12年度に製作した現場型水質改善装置を実際のダム湖に設置し,現場観測により水質改善効果を明らかにすることを目的とした.さらに数値シミュレーションにより,水質改善に関わるメカニズムを定量的に評価し,現場実験結果の再現の可否についても検討を加えた. まず,溶存酸素(DO)を豊富に含んだ表層水を貧酸素化した底層へ送り込む現場型実験装置を北上川水系田瀬ダムに設置し,底層おける水質改善効果を検討した.現地実験は2001年8月3日から9月19日の期間で行った.今回の実験では供給水の冷却が十分ではなかったが,底層においてDO濃度をわずかに増加させることが可能であった.DO濃度鉛直分布の結果から,本装置の有効範囲は50mまでは及ばないが,最低でも20mまでは及ぶと考えられた.また,底層における栄養塩濃度の経時変化から,本装置は上記の有効範囲内で水質改善効果を有するものと考えられた. 次に,以上の実験データをもとに簡単なBOXモデルによる数値実験を行い,現地実験での水質改善効果のメカニズムを再現し,パラメーターの変動が水質に及ぼす影響を定量的に評価した.その結果,計算結果は現地実験の結果を概ね再現出来る事がわかった.しかし,現場実験終盤には水面冷却による鉛直混合が起こり,DO及び栄養塩濃度などにおいて計算結果と大きな差異が生じた.密度成層の消長は水質に多大な影響を与えるため,今後は成層構造の再現も可能なモデルの構築が必要である.また,堆積物の最大酸素消費速度が小さく,栄養塩の酸化速度係数が大きく,堆積物からの栄養塩の最大溶出速度が小さくなるほどDO濃度の増加が大きくなり,栄養塩濃度が減少することがわかった.
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