研究分担者 |
川上 紀明 名城病院, 整形外科, 医長
福井 壽男 愛知学院大学, 歯学部, 助教授 (50090147)
福永 啓一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (10303702)
桂 成基 山八歯材(株), 研究開発課, 課長
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研究概要 |
純金属や代表的な生体用金属材料の細胞毒性評価に関する報告を参考にして、細胞毒性の指摘の無い合金元素としてチタンを主構成元素としさらに,Nb、Ta、Zr、を添加したTi-Nb-Ta-Zr合金について,歯科精密鋳造性を従来よりあるTi-6Al-4V合金およびTi-6Al-7Nb合金と比較することによって行った。歯科精密鋳造性の評価としては,鋳込み条件,鋳型材の検討,鋳肌の評価,鋳造欠陥の評価あるいは鋳造材の力学的特性評価等が挙げられる。その中で,鋳型材の検討および鋳造材の力学的特性評価を行った。 まず,鋳造材の検討としては,市販のチタン用マグネシア系鋳型材,アルミナ系鋳型材およびマグネシア系鋳型材に改良を施した鋳型材を用いて,アルゴンアーク加圧鋳造機装置によりTi-29Nb-13Ta-4.6Zr合金,Ti-6Al-4V合金およびTi-6Al-7Nb合金を鋳造し鋳造体を得た。鋳造体の外観比較では,いずれの合金においても改良型鋳型材を用いた場合が良好であった。また,マグネシア系鋳型材を用いて鋳造した場合では,改良型鋳型材での場合と比較して,Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr合金でややその外観が劣るものの,Ti-6Al-4VおよびTi-6Al-7Nbではほぼ同等の外観を有していた。しかし,アルミナ系鋳型材の場合では,他の鋳型材の場合と比較して,焼き付きが激しく金属光沢は見られていなかった。 力学的特性評価としては,引張試験片の形状に各鋳型材で鋳込んだ各合金の引張特性について評価した。その結果,改良型鋳型材を用いて鋳造した場合では,Ti-29Nb-13Ta-4.6Zrでは,Ti-6Al-4VおよびTi-6Al-7Nbと比較して,すぐれた延性を示す事が明らかとなった。また,Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr合金での鋳放しままの試験片および表面層を除去した試験片での引張強さおよび伸びにについては大きな差異は認められず,改良型鋳型材を用いて鋳造したTi-29Nb-13Ta-4.6Zr合金の表面反応層は,その引張特性にほとんど影響しないことが確認された。
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