研究概要 |
本年度は,まず,転写印刷法によりヘテロ積層化した半導体ガスセンサの特性を評価した。NOxセンサに関しては,酸化タングステン膜に1.0wt%白金担持アルミナ膜を積層させた素子(1.0Pt-Al_2O_3/WO_3)が100ppm NOおよび100ppm NO_2にほぼ等しい感度を示した。よってこのセンサ素子は,燃焼制御に利用可能な全NOxセンサとして利用可能であることを明らかにした。また,H_2センサに関しては,下層に比べて上層に低抵抗の酸化物層を積層し(例えばSnO_2/TiO_2など),導電パスを上層経由ルートへと変化させてガス感応部を電極-上層間に挟まれたエリアだけに限定することにより,ガス感度や応答・回復特性が改善することを明らかにした。一方,一般的なセンサ基板は緻密アルミナ焼結体を用いるが,この表面に針状ムライト多孔質層を取り付けたのち,更にその上部にPt電極と酸化物層を形成したセンサ素子を作製したところ,緻密基板を用いたセンサに比べて,n-C_4H_<10>およびNO_2に対する感度および応答・回復特性がかなり向上した。これは,基板を多孔質化することによりPt電極間の導電パス領域のガス拡散性が向上し,被検ガスの酸化反応や酸化物表面への吸脱着がスムーズになるためと考えられる。さらに,ジエトキシジメチルシラン(DEMS)によるSnO_2粉末への表面化学修飾処理がセンサ特性に与える影響を検討した。その結果,DEMS化学修飾処理回数を最適化することにより大幅にH_2やCH_4,C_3H_8などの可燃性ガスに対する感度が向上すること,PtやPdを担持することによりさらにガス感度や応答・回復特性が大きく改善されることを明らかにした。
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