研究概要 |
本年度は,転写印刷法により酸化亜鉛系ガスセンサを作製することとともに,そのセンサ特性の改善を試みた。また,転写印刷法をBaTiO_3系強誘電体厚膜の作製法にも応用し,その微細構造制御を試みた。 (1)酸化亜鉛(ZnO)系ガスセンサのNO_2検知特性 下層をZnO,上層をZnO-WO_3を用いたヘテロ積層型センサ(ZnO-WO_3/ZnO)は,高感度でなおかつ応答・回復特性が良好であることを明らかにした。さらに,この素子に加え,COセンサとしてZnO/SnO_2素子,温度センサとしてβ-FeSi_2系熱電素子をともに転写印刷法により作製し,それらを1つのアルミナ基板に集積化することにより温度補償可能なCO, NO_2ハイブリッドセンサを作製した。 (2)転写印刷法を利用したBaTiO_3厚膜の微細構造制御 2-プロパノール(2-P)に適量のBaTiO_3(堺化学(株)製,BT-01:平均粒径0.1μm, BT-05:平均粒径0.5μm)粉末とプリンティングオイルを添加したスラリーを転写台紙上にスピンコーティング(9000rpm)することにより,強誘電体厚膜用転写紙を作製した。BT-01のみを用いた試料(膜厚:7.1μm)では,厚膜表面に多数の空隙が存在し多孔質であった。そこで,2-Pの添加量を減少させて粘度の高いスラリーより作製したところ(膜厚:10μm),部分的に繊密化したものの,全体的には空隙が多く存在した。そこで,より緻密な厚膜を得るために,粒径の大きいBT-05を混合したうえ2-Pの添加量をさらに減少させた。その結果,膜厚15.6μmと増加するとともに,より膜が繊密になった。このように,用いるBaTiO_3原料粉末の粒径やスラリー組成をコントロールすることにより,BaTiO_3厚膜の微細構造を制御することができた。
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