研究概要 |
ルテニウムを主活性物質とするアンモニア合成用触媒は当研究者らの発明に単を発し,第2世代アンモニア合成プロセスに発展し,世界最大プラントがトリニダードで1998年より稼動している.その高効率性から従来プロセスより40%の省エネルギーを達成していると言われている。本触媒系を小型装置に適用してアンモニアを得るとともに,それをNOX除去用還元剤とすることが本研究の目的である。船舶用ディーゼルエンジンの排ガスは対策がなされていないが,本装置の成功が鍵となっている。 小型低圧合成装置に必要な高性能アンモニア触媒の候補として活性炭担持セシウム推進ルテニウム触媒を本研究の対象とした。第一の問題は触媒水素処理活性化である。硝酸セシウムを水素化分解した状態で初めて促進効果が生ずる。本研究では分解温度より高い400〜600℃での水素処理により,(おそらくCsOHとRuの強い相互作用が生じ)著しい高活性化が得られることを見出した。一方,この温度域では担体炭素のメタン化も起こり得る。また高温でのRuクラスターの燃結も起こり得る。メタン化については550℃以上で著しくなることを見出した。Ru燃結も考慮し,450〜500℃で活性化を行うのが最適であるとの結論に達した。 NS設計社で企画製作した小型パイロット装置に本触媒を設置して活性化試験を行った。まず多量の触媒を投入した場合,触媒層入口での大きな発熱により温度制御が困難となった。そこで,触媒層の径を小さくする,触媒間にスペーサーを入れるなどの改良をした。その結果,350℃10atm下で5%のNH3収率を長時間得ることに成功した。またNH3の水捕集分離法も考慮し,試験に成功しつつある。
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