研究課題/領域番号 |
12793009
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
樋口 恒彦 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (50173159)
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研究分担者 |
水野 哲孝 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50181904)
永井 慎一 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (40080212)
植田 泰誠 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (50080198)
岸井 松司 和光純薬(株), 部長
若林 明子 東京都環境科学研究所, 部長
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キーワード | 薬物代謝 / シトクロムP450 / 代謝酵素モデル系 / 金属ポルフィリン / ルテニウム / 医薬品 / 酸化 / 内分泌攪乱物質 |
研究概要 |
P450による代謝系に類似したあるいはそれを上回る効率の良い反応系は、通常莫大な労力のかかる代謝研究及び難代謝性の有害環境物質の酸化分解にも有用であることが期待できる。研究者らは強力な酸化反応系を開発してきているおり、これらを医薬化学、環境科学分野について役立てることを目指している。本年度は開発に成功している新規強力酸化反応系を医薬品に適用し、得られてくる酸化生成物群を生体の実際の代謝産物と詳細に比較を行った。製薬グループとの共同で各種酸化触媒系について検討を行った。医薬品としては主に構造様式の異なる2種の化合物(トロンボキサンA_2アンタゴニストVapiprost,5-HT_3アンタゴニストOndansetron)を対象とした。前者は脂肪族複素環を、後者は芳香族複素環を含む構造を有している。これらについて種々の金属ポルフィリン触媒酸化系、並びに銅-アスコルビン酸-酸素系で酸化を行い、実際の代謝物の生成パターンとの比較を行った。その結果金属ポルフィリン系では代謝物に一致する酸化生成物を各種与えたが、芳香環水酸化体については少なかった。この点を銅-アスコルビン酸-酸素系は補い、芳香環水酸化体を多量に与えた。したがって両反応系を組み合わせれば大部分の代謝物の一段階大量合成が可能と考えられた。 一方、TCDD,PCBなど酸化分解を行いにくい基質へのできるだけ酸化効率の高い触媒反応系の構築のための基礎研究として縮合芳香環類をモデル基質として酸化反応の検討を行った。反応効率を上げるためにRuポルフィリン系では、ポルフィリン環に電子吸引性基を様々な位置に導入して反応活性種の親電子性の大幅な向上を図った。検討した結果反応速度が低下するものの生成したキノン類の二次酸化までを行うようになり、一定の成果を得ている。
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