研究課題/領域番号 |
12793010
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
高垣 啓一 弘前大学, 医学部, 助教授 (70163160)
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研究分担者 |
柿崎 育子 弘前大学, 医学部, 助手 (80302024)
吉原 秀一 弘前大学, 医学部, 講師 (00261454)
加藤 陽治 弘前大学, 教育学部, 教授 (20194863)
岩船 美都 弘前大学, 医学部, 助手 (80312487)
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キーワード | プリテオグリカン / 新素材 / 炎症性腸疾患 / 癒着防止剤 / プロテオグリカンシート |
研究概要 |
プロテオグリカンの新素材としての可能性探索 i)動物実験による炎症性腸疾患に対する効果 炎症性腸疾患に対し現在根本的な治療法は開発されていない。そこで、サケ鼻軟骨プロテオグリカンをデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)実験腸炎に投与し、腸炎の抑制効果を調べた。方法はCD-1マウスに対し4%DSS投与と4%DSSに加え11%プロテオグリカン投与の2群に分け自由摂取させた。それぞれの症状(下痢、血便)、生存率、体重変化を観察した。また、5日目に犠牲死させ腸管の病理検索を行った。 その結果、DSS投与による腸管障害は、プロテオグリカンの投与により、症状、消化器官、生存率、病理所見において著明に軽減された。プロテオグリカンは、原材料や生成過程により生体に対し基本的に無害と考えられ、将来、炎症性腸疾患の治療薬として期待される。 ii)プロテオグリカンシートの開発と癒着防止剤としての効果 フィルム状のプロテオグリカンシートの作成を試みた。その結果、100%プロテオグリカンから成る無色透明なプロテオグリカンシートを作成することに成功した。次に、このプロテオグリカンシートを用いて、腹腔内癒着に対する効果を検討した。方法は、ICR(CD-1)マウスをエーテル麻酔下に腹部正中切開を加え、腹部創より約1cm離れた左右の壁側腹膜に電気メスにてそれぞれ剥離した。剥離創よりおおきめのプロテオグリカンシートを付着させ、周りをナイロン糸にて縫合した。術後一週間目に再開腹し、腹腔内組織の剥離創に対する癒着を評価した。 その結果、プロテオグリカンシートには、癒着を防止する効果はなく、その反対に組織と組織を結合させる接着因子としての効果があることが示された。従って、熱傷の他、床ずれ(褥創)治療などの老人介護用治療剤、または皮膚移植、肝移植の際に組織の接着を促進させる効果が期待される。
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