研究課題/領域番号 |
12794004
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
大宮 邦雄 三重大学, 生物資源学部, 教授 (60023488)
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研究分担者 |
苅田 修一 三重大学, 生物資源学部, 講師 (90233999)
木村 哲哉 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (00281080)
粟冠 和郎 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20154031)
三島 隆 三重大学, 生物資源学部, 助手 (40314140)
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キーワード | キチン分解嫌気性菌 / キチナーゼ遺伝子 / ヒドロゲナーゼ遺伝子 / 水素ガス / クロストリジウム属 / N-アセチルグルコサミン |
研究概要 |
三重大学キャンパスから単離したキチン分解嫌気性菌Clostridium paraputrificum M株は、キチンを分解してクリーンエネルギーである水素ガスを生産する。このM株を用いて今年度は以下の研究成果を得た。 1.本菌の水素ガス発生の代謝系の末端で機能する酵素ヒドロゲナーゼ遺伝子およびこの発現を調節する領域をクローニングし、構造を解析した。このヒドロゲナーゼ遺伝子は、1,749塩基対からなるアミノ酸582をコードする推定分子量64,560から構成されていた。この酵素遺伝子はClostridium属の他種のヒドロゲナーゼと比較するとアミノ酸レベルで約70%の相同性を示す新規のヒドロゲナーゼ遺伝子であることが判明した。 2.この遺伝子をプラスミドpJIR751(5954bp,オ-ストラリア、Dr.Roodより供与)のXbal-SpeIサイトに組み込み構築されたpJIR751-hyd(8301bp)をエレクトロポレーション法(25μFD/0.5kV/400Ω)を用いて導入した。得られた組換え体は、野生株と比較して最大で1.8倍の水素ガスが発生した。また時間あたりの水素ガス発生量も最大1.8倍の増加であった。通常、嫌気性細菌ではグルコース1モルあたり2モルの水素が発生すると報告されているが、本研究により同量の炭素源から約1.2-1.8倍の水素ガスを得ることができた。 3.有機酸を測定したところ、野生株では、乳酸40mM、および酢酸40mMが生産されていることが判明した。これに対し、ヒドロゲナーゼ組換え体では、酢酸が50mMに増加していたのに対し、乳酸が5mMに激減していた。従って、グルコース1モルあたりの水素発生量が著しく多くなった原因としては、ヒドロゲナーゼの発現強化によって乳酸に行く代謝経路が細くなり、水素生産にプラスしたものと考えている。
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