研究課題/領域番号 |
12794005
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
野口 玉雄 長崎大学, 水産学部, 教授 (40011910)
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研究分担者 |
高谷 智裕 長崎大学, 大学院・生産科学研究科, 助手 (90304972)
荒川 修 長崎大学, 水産学部, 助教授 (40232037)
橘 勝康 長崎大学, 水産学部, 助教授 (20171712)
谷川 昭夫 長崎漁港水産加工団地協同組合, 専務理事/研究製造部長(研究者)
八木 基明 長崎市水産センター, 養殖係, 係長(研究者)
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キーワード | トラフグ / 養殖 / フグ毒(TTX) / 免疫力 / 抗体価 / 幼若化 / 網生け簀 / 残滓 |
研究概要 |
屋内の1t水槽に、トラフグ稚魚を100尾ずつ[試験1]、または当歳魚を60尾ずつ[試験2]、もしくは海面の網生け簀に当歳魚を200尾ずつ[試験3]、または2年魚を470尾ずつ収容し[試験4]、市販魚粉餌料、発酵魚粉餌料、ナシフグ加工残滓から抽出した粗毒をこれらに添加した餌料、ナシフグ残滓を粉砕して魚粉に混ぜた餌料などを与え、30〜60日間飼育した。この間、定期的に各区から5尾ずつ取り上げ、体格、血液の生化学的性状、および毒の蓄積状況を調べるとともに、飼育終了時にヒツジ赤血球に対する抗体価や脾臓細胞の幼若化を指標として免疫力を測定した。 飼育期問中、いずれの試験においても試験魚の筋肉はすべて無毒であったが、有毒餌料を投与した場合、一部の試験区を除き、皮に数MU/g程度の微量の毒を、肝臓や卵巣に数十MU/gに達する比較的多量の毒を蓄積した。体格と血液の生化学的性状については、いずれの試験においても有毒餌料投与区と無毒餌料投与区の間に際だった差は認められなかったが、免疫力については、前者が後者より[試験1]の抗体価で1.2-2.0倍、幼若化で1.1-1.5倍、[試験2]の抗体価で2.2-2.3倍、[試験3]の抗体価で1.5-2.6倍高い値を示した。また、[試験3]における有毒餌料投与区の試験魚は、無毒餌料投与区のものに比べ、魚病原因細菌Flexibacter maritimusの感染に対して強い抵抗性を示した。さらに、[試験4]においては、飼育終了時点の生残率が、有毒餌料投与区で64〜70%、無毒餌料投与区で54%程度と、前者の方が後者より10〜15%程度高かった。 以上、本研究により、フグ毒添加飼料の投与が養殖フグの健全化に極めて効果的であることが示された。
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