研究課題/領域番号 |
12794007
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中村 信吾 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (50003570)
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研究分担者 |
長田 恭一 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (30271795)
戸羽 隆宏 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (10108483)
五十嵐 康雄 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (90003433)
中村 正雄 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30109516)
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キーワード | りんご / ポリフェノール / 縮合タンニン / ラジカル / 脂質代謝 / ラット / 過酸化脂質 / リノール酸 |
研究概要 |
ポリフェノール(PP)は日常的に摂取している食品成分であるが、その生理機能は多岐にわたる。りんご果実中、とくに、その未熟果にもPP成分が高濃度に含まれており、in vitroアッセイではカテキン同様に抗酸化、抗アレルギー作用、抗う蝕作用あるいは消臭機能等の活性が知られるようになった。そこで、りんごPPの諸機能とそのメカニズムを主としてin vivoあるいは食品製造モデルで検討して化成品素材化を図ることを本地域連携研究の目的とした。初年度は、種々のりんご未熟果実に含まれるPP成分とその濃度を把握するとともに、食品添加物として抗酸化機能の発揮、さらには生体内脂質代謝改善作用を検討した。まず、37種類のりんご未熟果実から果汁を抽出し、PP濃度と縮合タンニン濃度およびDPPHラジカル捕捉活性を測定した。その結果、ブラックジリフラワーのPP含有量が最も高く、縮合タンニン濃度はエブーパススピッツエンブルクが最も高かった。一方、ラジカル捕捉活性(LD50:50%捕捉に要するPP濃度)はゴールデンデリシャス由来の果汁が高かった。また、りんごPPを食肉加工の際に加えたところ、加工および貯蔵期に生じる脂質過酸化を抑えることを見い出した。次に、りんご由来PPが脂質代謝に及ぼす影響を調べるために、4週齢SD系雄ラットに0.25%りんご未熟果実由来低分子PP画分(APM)あるいは高分子PP画分(ACT)を含む(対照は無添加)飼料を26日間与えた。その結果、組織過酸化脂質濃度は対照よりもPP摂取群が低く、ACT摂取群は最も低くなった。反対に、血清と肝臓のトコフェロール濃度は対照よりもPP摂取群が高く、ACT摂取群が最も高くなった。肝臓HMG-CoA reductaseおよびΔ6 desaturase活性は、対照群よりもPP摂取群が低く、ACT摂取群は最も低くなった。一方、cholesterol 7α-hydroxylase活性は対照群よりもPP摂取群が高く、ACT摂取群は最も高かった。これらの酵素活性を反映し、肝臓コレステロール濃度および肝臓と血清脂質のΔ6 desaturation indexはACT摂取群が最も低くなった。また、肝臓と血清トリグリセリドならびに血清コレステロール濃度もACT摂取群が最も低くなった。このように、りんごPPはコレステロール生合成とリノール酸不飽和化を抑え、一方ではコレステロール異化を進める機能を有しており、その作用は低分子画分よりも高分子画分が強いことが明らかとなった。
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