研究課題/領域番号 |
12794008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野 拡邦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30261960)
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研究分担者 |
有馬 孝禮 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10144057)
堀 成人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80313071)
竹村 彰夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50183455)
岡部 敏弘 青森県工業試験場, 漆工部, 部長(研究職)
伏谷 賢美 (有)笠原技術士事務所, 副所長(研究職) (80014950)
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キーワード | ヒノキ / リンゴパルプ / フェノール部分液化 / 炭化 / ウッドセラミックス |
研究概要 |
(1)木粉の部分液化:先年度に引き続き木粉の効率的部分液化をヒノキを用いて検討した。硫酸触媒濃度を3kmMo1/g木粉とした結果、フェノール/木粉比=1/2.5で残さが50%程度の部分液化物を得ることに成功した。この部分液化物は未反応フェノールが非常に少ないことが特徴的であった。さらに、この部分液化物をホルムアルデヒドと反応させて得られた樹脂粉末は160℃程度で成形可能であった。 (2)成型物の予備焼成と炭化率の検討:フェノール/木粉配合比1/1および1/2.5で調製した部分液化物の成形体を800℃まで焼成し、その重量損失を従来のフェノール樹脂含浸型ウッドセラミックス(フェノール樹脂/木材比=1/1)と比較検討した。600℃までの重量損失は、1/1で52%、1/2.5で45%であり、ウッドセラミックスの損失率60%を凌ぐ良好な炭化率を示した。このことは、少ないフェノール量で収量の多い炭化物が得られることを示唆し、興味ある結果である。 (3)リンゴパルプの部分液化:青森県内で多量に廃棄されるリンゴジュース搾汁カス(リンゴパルプ)についての部分液化を木粉と比較検討した。木粉での穏和な液化条件である硫酸濃度1mMol/g木粉で、フェノール/リンゴパルプ配合比=0.6/1を用いた部分液化では、残さが25%程度であり、木粉に比べリンゴパルプは液化され易いことが判明した。この理由はリンゴパルプ中に多量の低分子多糖類を含むことに起因すると考えられる。この結果は、少ない硫酸触媒量でリンゴパルプを部分液化できることを意味し、木粉よりも安価な処理でウッドセラミックス化できる可能性を示している。 今後は、上記部分液化物の炭素化条件の検討とその特性検討が主題となる。
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