研究課題/領域番号 |
12794015
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00151803)
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研究分担者 |
石黒 直樹 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20212871)
畠 賢一郎 名古屋大学, 医学部付属病院, 助教授 (80293710)
水谷 英樹 国立名古屋病院, 医長 (30167663)
高井 治 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (40110712)
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キーワード | 培養骨 / 培養軟骨 / 移植基材 / 機械的刺激 / 未分化間葉系幹細胞 / 大量培養 / 培養骨膜 |
研究概要 |
本年度の研究成果は未分化間葉系幹細胞(MSC)の増殖および分化に関する評価を行った。大量培養システムのバイオリアクターを用い、少量MSCより、10^9オーバーの細胞を獲得することに成功した。さらにこれら細胞が骨芽細胞分化因子に反応し、一定の分化能を持ちうることを明らかとした。またメカニカルストレスとMSC分化促進機構についてさらなる検討を行った。超音波や伸展刺激を1週間かけ続ける事により、MSCの骨芽細胞分化がALP活性、細胞内カルシウム濃度、オステオネクチン、オステオポンチン、Type Iコラーゲン量などで1.5〜2倍上昇していた。また超音波刺激によるこれら細胞変化をもたらすメカニズムの一因を明らかにするために、NF-_κB, I_κ-Bの活性化について検討を行った。これらのメカニカルストレスにおけるメカニズムのひとつとしてNF-_κBの活性化が関与しており、I_κBのリン酸化に超音波刺激が関わっていることが明らかとなった。そして、骨芽細胞様細胞に分化したMSCに酸化ストレス発生剤を加えた時の分化促進効果について、超音波刺激群と比較、検討を行った。その結果、超音波刺激を酸化刺激についてはいくつかの共通点がみられ、超音波のもたらす骨形成促進メカニズム解明に有用な情報となると考えている。バイオリアクターの加圧実験において、二酸化炭素分圧変化について検討を行ったが著明な変化を認めていない。今後バイオリアクターの酸素分圧の変化に対応するモジュールにより、二酸化炭素分圧だけでなく、窒素ガス、酸素ガス分圧等の詳細な検討が必要であると考える。今回の結果よりこれら超音波刺激に代表されるメカニカルストレスの重要性が明らかにされた。これらバイオリアクターのもつ細胞変化能力についてメカニズムを含めて、再生医学における人工骨作製においてメカニカルストレスの有用性について更なる検討を行いたい。
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