研究課題/領域番号 |
12794021
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
原 利昭 新潟大学, 工学部, 教授 (50134953)
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研究分担者 |
大森 豪 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70283009)
新田 勇 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (30159082)
遠藤 直人 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10251810)
佐藤 一男 (財)新潟県県央地域地場産業振興センター, 技術開発課長(研究職)
星 輝男 瑞穂医科工業株式会社, 五泉工場, 開発部長(研究職)
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キーワード | デバイス / 股関節 / バイオメカニクス / 整形外科 / 免荷機能 / 応力解析 / 最適設計 |
研究概要 |
平成12年度でデバイスの形状設計を行って試作品を4種類作製し、それらの強度を確認するための試験等を行った。今年度は、前年度の実験結果に基づき、手術時のデバイス設置性と骨盤への取り付け方法を考慮した設計の改良を行うとともに更なる強度と機能を確認するための研究を主として行った。その結果、骨盤固定部のデザインを2点(type3)および3点固定方式(type4)のデバイスを作製した。ついで、これらの強度を調べるためにFEM(有限要素法)を適用してデバイス設置時を想定した境界条件の下で応力解析を行った。デバイスの材質をTi-6A1-4v、患者の体重を60Kg、生活レベルを準平常時とし、拘束条件として(1)腸骨固定部の突起とネジ側面を全固定する、(2)大腿骨固定部遠位端は垂直方向のみ自由、(3)リンク部の軸とコンポーネント間の緩みはなく、相対運動せずとした場合の結果より、(1)2点固定より3点固定方式(type4)の方が骨盤固定部での負荷応力分散能の点で優れている、(2)デバイスに生ずる最大応力はtype4で161Mpaであり、(3)可動域を保証する調整部では84.3Mpaであり、段付き形状であっても強度的には十分であること、(4)疑似生体液中でのTi-6A1-4Vの疲労限度は、Parkらによれば、50Mpaであることから、歩行等による繰り返し負荷にも十分な強度を有すること等を明らかにした。 これと平行して、両タイプのデバイスを用いた場合の寛骨臼と大臆骨骨頭との接触状況を調べる実験を行った。寛骨臼内部に感圧導電体センサーを挿入し、歩行時を想定した場合の免荷機能について調べた結果、寛骨臼内部ではほぼ接触領域が見られず、十分な免荷状態にあることを確認した。 デバイス装着時の可動域について更に詳細に調べるために、血管柄付腸骨移植術(PBG)後1年の片側性大腿骨頭壊死患者(10N)の歩行状態を調べた。医師から患脚への許容負荷量を体重の1/2〜2/3と指示された期間で、ロードセルを組み込んだ片側松葉杖を使用させて床反力計上を歩行した場合には、松葉杖および患脚への荷重作用は体重の2/3以下であり、大きな衝撃荷重を生じていないことを確認した。これにより、上記の有限要素法によるデバイスの応力解析の妥当性をも確信した。 実際のデバイス加工法についての簡便化についても同時に研究を行った。出来るだけ組み立てと構成を効率的に行うためのコンポーネント形状の最適化やチタン材の被削性を考慮した加工の最適化を詳細に調べた。これにより最終年度に完成させるための基礎知識を十分蓄積した。
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