研究課題
教科書の読みやすさ・わかりやすさについての調査研究の3年目は、各部会とも、外国調査を実施した。教科書の出版社などを訪問し、読みやすい、わかりやすい教科書を編集するための留意点などについて調査を行った。各部会の調査、分析の要点は次のとおり。(1)国語部会=イギリスにおける国語の教科書の読みやすさ・わかりやすさをどのように工夫するかは、市場原理に任されている。本文、ビジュアルなもの、グラフなどを総合的にみて、読みやすい、わかりやすいものとなるよう工夫されている。学力の低い子どもを意識しながら、文章を短くするとか、囲み記事を工夫するなどのことが行われている。(2)社会科部会=アメリカの出版社を調査。社会科の教科書は、教師や編集者が執筆するのではなく、執筆する内容(用語を含む。)を決めたら、歴史の場合、はじめに歴史家がラフな草稿を書き、それをもとにプロのライターが子どもに理解できるように、わかりやすく書き直す。語、文節を短く区切る、学年段階に応じた用語選択を行うなどの工夫もしている。(3)算数・数学部会=フランスとアメリカの出版社を訪問して現地調査を行った。フランスでは、全ての教科書で、教科書のページを開く前に授業があることを前提にしている。授業では、何が問題であるのか、問題提起がある。その後に教科書を開いて、基礎的概念を示し、例題を解く。次に子どもが文章を読み、理解し、書くということを繰りかえす。算数・数学の教科書には、理解を助けるためのイラストが多い。(4)理科部会=アメリカの出版社などを訪問。小学校の理科の教科書には、遺伝子に関するもの、人工衛星に関するものなど、高度な内容も取り扱えるようになっており、高度な内容も読みやすい、わかりやすい内容にかみくだいて教えられるようになっているのが特徴。