研究概要 |
白亜紀は大陸の分化とそれに伴う環境変化がおこり,生物進化が著しく進んだ時代で,生態系進化における最も重要な転換期の一つだった.ジュラ紀から白亜紀の生態系の変遷の過程は,最近まで白亜紀初頭の良い化石産地が少なかったことから,よく理解されていなかった.本研究は,手取層群の白亜紀初頭の小型脊椎動物化石産出層準の研究を行うことによって,白亜紀初頭の生態系を可能な限り復元,解明しようとするものである.平成13年度は,天然記念物指定地におけるトンネル工事によって掘削された,化石を含有する岩石の未処理分(石川県白峰村),自然災害によって一時的に露出した,化石を含有する岩石(岐阜県荘川村)などの採集,標本の確認,剖出,予察的な分類を進めた.6月の日本古生物学会年会では,当研究組織を中心に「白亜紀初頭の陸の生態系を考える」と題する10件の研究発表で構成されるシンポジウムを開催した.9月の日本地質学会(金沢大学)では,学会参加者に対して巡検(現地見学)を実施した.また,オーストラリアでボランティアによる発掘や,小学校で化石教室を主催している豪モナッシュ大学の担当者2名を招聘し,11月に白峰村を会場にワークショップを開催し,地域住民や一般の理解を促進する方策について意見交換を行ったり,白峰小学校,荘川小学校,荘川中学校で特別授業を行った.3月に荘川村を会場に6件の基調講演からなるシンポジウム「中生代に想いを馳せる」と一般公開講演を開催し,荘川中学校で特別授業を行い,白峰村でも村民を対象とした普及講演を行った.
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