研究概要 |
表面抵抗を持つグランド板は板の厚さが表皮の深さよりも薄い場合は抵抗膜、厚い場合はインピーダンス板としてモデル化できる。平成12年度は,抵抗膜に開けたスロットによる電磁波の散乱を抵抗膜境界条件を用いて定式化し、散乱界の数値解析を行った。平成13年度は、インピーダンス板に開けたスロットによる電磁波の散乱をインピーダンス境界条件を用いて定式化し、散乱界の数値解析を行った。また、損失性平板として電波吸収体を用いた実験をXバンドの周波数帯で行った。実験と計算の結果、表面抵抗値の小さなグランド板(金属板)に開けたスロットからの透過波は共振時に振幅がかなり大きくなるが、スロットの周囲に電波吸収体を適切に配置すればほとんど共振が起きないため透過波を低減することができる、ということが判明した。また、スロットの長さを変えて計算を行ったところ、スロットの長さが短いほど電波吸収体による電磁遮蔽効果が大きいことがわかった。 スロットの周囲に配置した電波吸収体がスロットからの放射波をどの程度抑圧するかに関して今回2編の論文を発表した。これらの論文ではグランド板に開けたスロットから電磁波が空間に放射される様子を解析しており、実験によって解析方法の妥当性を確認したものである。
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