研究課題/領域番号 |
12831006
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
多氣 昌生 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60145670)
|
研究分担者 |
渡辺 聡一 総務省, 通信総合研究所, 主任研究官
田中 利幸 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (10254153)
|
キーワード | 高周波電磁界 / 生体影響 / 曝露装置 / 非熱作用 / 変調波 / ボランティア実験 / 閃光 |
研究概要 |
低周波で振幅変調した高周波電磁界が、生体組織の非線形性により検波されて生じる低周波成分が及ぼす生体影響を調べることが本研究の目的である。ここでは、20Hz付近の低周波電磁界が網膜内に誘導する電流で生じる磁気閃光と類似の現象が変調高周波で見られないかどうかを明らかにすることをターゲットとしている。ボランティア実験が必要であり、安全性への配慮が重要なので、初年度は主に安全性確保に重点を置いた検討を行った。はじめに微小なコイルを用いてさまざまな条件で眼に高周波電磁界を曝露したときの吸収電力分布を数値解析により明らかにした。また、ボランティア実験の予備検討として、研究代表者を被験者として900MHzで20W/kg程度の曝露を試みた。この値は職場環境の防護指針値の2倍である(時間制限により実験は指針値を満たす範囲で実施)。その結果、閃光は知覚されなかった。この試行実験の結果を踏まえて、(1)網膜付近での誘導電界の向きが異なる、(2)内部電界が小さすぎる、(3)周波数が高いので膜付近の分子が分極にあまり寄与しない、といった問題点を考慮し、本研究のための曝露装置として、比較的低周波数のISM周波数である13.56MHzの強磁界を発生できる曝露装置およびマッチングボックス・曝露コイルを製作した。現在、この周波数における人体頭部の曝露評価を進めており、安全な曝露条件を明らかにしている。これによって、次年度に予定するさまざまなコイルを用いたボランティア実験の安全な実施が可能となる。また、閃光感覚の知覚の有無にかかわらず、ボランティア実験での主観的な報告に対する客観的裏付けが必要であることから、製作した装置は細胞レベルの実験にも応用可能性についても検討し、ボランティア実験と細胞実験を平行して進めることのできる見通しを得た。
|