研究概要 |
経頭蓋連続磁気刺激(rTMS)は、種々の中枢性変性疾患やうつ病に試みられている。8の字コイルを用いて前頭前野を局所的に刺激し、第1次運動野への影響について検討した。 平成12年度は、パーキンソン症候群7名(男性1名、女性6名、平均年齢56.4±8.1歳)を対象とし、インフォームドコンセントを行った上で施行した。方法は8の字コイルを用いて、APBでの120%motor thresholdの刺激強度で、対側の前頭前野に0.3Hz、30回のrTMSを投与した。rTMSの前後にて、APBにおけるmotor threshold、silent period、cortical mappingを測定した。また、rTMS施行中は、ビデオ、APBの表面筋電図、脳波によるモニターを施行し、rTMSの安全性の確認も検討した。結果は、全例において,rTMS後の第1次運動野におけるAPBにおいてMEPの振幅の増大がみられた。APBのmotor threshold、silent periodの著変はなかった。以上より、前頭前野への局所的なrTMSは運動系への効果が推測された。また、全例において安全性の確認ができた。 平成13年度は、19名のパーキンソン病(男性10名、女性9名、平均年齢62.8±11.0歳)を対象とした。方法は同様で、APBにおけるrTMS前後のcortical mappingを行った。結果では、19例中13例において、rTMS後のMEPの振幅は増大し、その中にmappingのareaが拡大していた例があった。MEPの振幅の総和におけるrTMS前後での差において、振幅の低下がみられたものは6症例あり、その中の3症例は、rTMS後のmotor thresholdが低下していた。前頭前野における局所的なrTMSは、第1次運動野への促通効果あるいは興奮性の上昇傾向があると推測された。
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