研究概要 |
対象を若年健常者,高齢者とし,静止立位からの随意運動や水平移動刺激に対する姿勢制御(応答)に関する基礎的データを得るとともに比較,検討することを目的とし,以下の3種類の実験を行った. 1.静止立位から足関節運動のみの前後運動 2.静止立位から下肢を1歩踏み出す 3.静止立位における前方向への水平移動刺激 各々の実験において関節運動,床反力,足圧中心動揺(COP),筋活動(EMG)のパラメーターを計測した. 静止立位から足関節運動のみの前後運動において,前後方向へのCOP移動距離は足長に対し約70%程度であり,その限界距離に到達するためには垂直分力(Fz)の影響が大きいことが認められた.また,静止立位から下肢を1歩踏み出す(gait initiation)実験での予測的姿勢制御においてもFzの影響が大きく,Fzによって下肢を踏み出す時の推力が決定されることが示された.これらのことから,静止立位から随意運動を行う際の予測的姿勢制御には水平分力であるFxやFyよりもFzが大きく関与しているであろうと考えられた. 立位における前方向への水平移動刺激(3.75,7.50,10.00,15.00,20.00,30.00mm/0.15sec)に対し,COP移動距離は3.75mmから15.00mmまで増加傾向を示した.このことから,水平移動刺激後の姿勢制御能は体重心の動揺を測定することによって評価されるであろうことが示唆された.
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