研究課題/領域番号 |
12832008
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉田 一徳 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90292218)
|
研究分担者 |
黒川 良望 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80215087)
飛田 渉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10142944)
上月 正博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70234698)
桑原 誠 アステック株式会社, 研究開発部, 課長(研究職)
田中 志信 金沢大学, 工学部, 助教授 (40242218)
|
キーワード | 肺気腫 / ADL / HRQL / QOL / リハビリテーション / 呼吸 / LVRS |
研究概要 |
研究の目的 肺気腫患者の日常生活活動(activities of daily living;ADL)の障害状況、HRQL、精神心理機能を詳しく分析し、それぞれの相互関係、特にHRQLを規定する因子に関して明らかにした。詳細なADL評価のために新たに独自の在宅ADL評価表を作成したり、HRQL評価では国内外で比較可能な2つの評価法、すなわちdisease-specific HRQLとして認められている日本originalの「慢性呼吸器疾患患者のQOL評価表」と国際的に定評のあるsickness impact profile(SIP)を研究者らが翻訳して用いた。さらに呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)や新たな外科的治療法であるlung volume reduction surgery(LVRS)が、肺気腫患者のHRQL、ADL、精神心理機能に及ぼす影響についても明らかにした。その結果、肺気腫患者のHRQL、ADL、運動機能、精神心理機能では著明な低下が認められ、特に不安や鬱傾向の割合が高く、社会参加や家庭内の役割が低下していた。また、呼吸機能障害を有するのに指示どおりの酸素使用をしていない症例が多く認められた。さらに呼吸リハによる運動機能の改善は、必ずしも精神心理機能の改善を伴なわず、肺気腫患者には精神心理ケアも含めた包括的なアプローチが必要であることが明らかになった。一方、さらに、本研究によりLVRSが肺気腫患者の呼吸機能、運動機能を著明に改善し、ADL、HRQL、精神心理機能も並行して術後12カ月にわたり明らかに改善させることが初めて明らかになった。また、LVRSにより、動作中の呼吸数、心拍数、心筋酸素消費量の減少、血圧上昇や酸素飽和度低下の抑制、運動能力の増加、運動回復に要する時間の短縮など日常生活活動での量的・質的変化の評価が容易にビジュアル化してできるようになる可能性が示唆された。
|