研究課題/領域番号 |
12832013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
江藤 文夫 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (00101121)
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研究分担者 |
和田 直樹 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
大津留 泉 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50296141)
赤居 正美 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (80143452)
五日市 克利 東京大学, 医学部・附属病院, 技官
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キーワード | パーキンソン病 / 異常歩行 / リハビリテーション / 歩行分析 / 補装具 / 踵補高 / すくみ足 |
研究概要 |
本年(平成12年)度は、踵補高のためのインソールタイプの計測用靴を作製し、健常者及びパーキンソン病患者で補高靴を装着しての歩行の計測を行った。 1 計測用靴は足底版を内挿するタイプの革製靴型装具を(大)(中)(小)の3タイプ作製し、踵補高には荷重にて歪みを無視しうる硬性素材を使用して、楔状の補高調節板をl0mm、15mm、20mmの3タイプを作製した。 2 シート型の歩行分析装置(ゲートスキャン)を使用して、歩行速度、ステップ長、ストライド長、歩行周期、一歩時間、立脚時間、遊脚時間、両脚支持時間、一歩目の距離、一歩目の時間を計測した。パーキンソン病患者(PDと略す)及び健常対照者で歩行を計測し、以下の結果がまとめられた。 (1)PD群では踵補高により歩調(ケーデンス)の増加を認めた。 (2)PD群、対照群とも踵補高により足圧中心の移動距離の増加を認めた。PD群においてより著明な足圧中心の移動距離増大を示す例があった。 (3)PD群では床反力の踵、足先部のピークの平坦化を認めたが、踵補高により健常者に近いパターンとなった。 (4)PD群では全例で踵補高により自覚的な歩行障害の改善を認めた。 3 パーキンソン病患者では「すくみ足」と呼ばれる歩行の開始障害を認める例が多いことから、歩行開始時の踵補高の効果を検討中であるが、足圧中心の変位が見られている。 4 足圧中心の移動距離が踵補高の効果の指標として有用な可能性が大であることから、Fスキャンにより歩行中の足圧分布の変動の計測を検討中である。 5 3種類の踵補高では補高の高さによる効果の差は明らかでなく、今後臨床的治療法として確立するために計測対象例数を増し、至適高さ決定の指針を検討する。
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