パーキンソン病患者の異常歩行に対する靴の踵補高の効果を、ゲイトスキャンとF-スキャンを使用して計測し検討した。これらの計測法により、歩行速度、ステップ長、歩隔、歩調、および足底圧分布を含むいくつかの歩行のパラメータが得られた。計測について説明し、同意・協力の得られたパーキンソン病患者(YahrらのステージIII-IV)延べ25人と対照として健康人16人とが被験者としてこの研究に参加した。踵補高は荷重による歪みを無視しうる硬性素材を使用して楔状の補高調節板10、15、20mmの3タイプを作製して装着し、補高しない場合(0mmと比較した。踵補高により、足圧中心(COP)の移動距離はPD患者群、対照群ともに有意な増加を認めた。踵接地からつま先離地に至る足底圧ピークの移行時間は、PD患者群で有意に短縮した。また、年齢対応の歩行障害のない対照群と比較して、パーキンソン病患者はどんなタイプの踵補高においてもCOP移動距離は短縮した。その他のパーキンソン歩行への踵補高の効果としては歩調の増加、2つの足底圧ピークの移行時間の短縮等が含まれた。パーキンソン病患者は、踵補高により歩行パターンが正常対照と同様の状態で歩くことができるように見えた。踵補高の影響は歩行の計測で明らかであり、1.0-2.0cmの付加的な踵補高によりパーキンソン病患者での歩行の改善に貢献した。これらの知見は、薬物治療におけるのと同様に臨床的有用性を確立するため大規模なサンプルでのさらなる無作為化試験と長期的観察の必要性を示唆する。
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