恒常的な部分脱神経(以下PDと略す)筋モデルの作成のため、ラットの第5腰髄神経節を切離した。第5腰髄神経節切断後の坐骨神経の髄鞘内横断面積とヒラメ筋の湿重量および筋線維横断面積の測定、さらに筋線維のタイプ分類とあわせて組織化学的検索を行った。PD後の坐骨神経本幹部分において、残存している正常な神経束の髄鞘内横断面積は術後4週と6週、8週で対照群と比較して有意に増大していた。また6週と8週の間では変化は見られず、4週から6週にかけて肥大がおこることが判明した。筋湿重量の変化は、部分脱神経によりすべての週で筋湿重量は低下することが観察され、残存した正常な筋群の代償的肥大と脱神経をおこした筋群への再支配が起こっていても筋湿重量には変化が認められなかった。PDを起こしたヒラメ筋は、初期にはタイプ2線維の減少を見るが、6週には発芽による再支配を受けたヒラメ筋の筋線維が回復する段階において、タイプ2線維の比率の上昇を認めた。筋横断面積の変化は、神経切離後2週にはヒストグラム上左方に偏位しており、筋組織が全体に萎縮していることが観察された。4週では右方偏位が始まることが確認され、6週経過すると、左方偏位したままと右方偏位の2峰性の集団が明白に見られた。さらに6週から8週にかけて左方偏位群が右方偏位化している。8週では萎縮した筋群は脱神経筋と考えられる。PD後の筋線維の回復は、脱神経後6週までは廃用性筋萎縮と発芽による再支配を受けた筋群の肥大によることが明らかになった。
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