研究課題/領域番号 |
12832018
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
和田 真 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20175152)
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研究分担者 |
馬場 久敏 福井医科大学, 医学部, 教授 (00165060)
前澤 靖久 福井医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (00262634)
内田 研造 福井医科大学, 医学部, 助手 (60273009)
米倉 義晴 福井医科大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (60135572)
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キーワード | 頚椎症性脊髄症 / 動作解析 / positron emission tomography / 歩行分析 |
研究概要 |
【目的】我々はpositron emission tomography(PET)で測定された頚髄グルコース代謝量や手の動作解析および歩行解析によって得られるデータが、頚髄症の運動機能障害を反映する新しい指標と成りうるか否かを明らかにする目的で研究を行った。 【方法】頚髄以外に病変のない慢性圧迫による頚髄症患者および健常人対照に対し、1)高分解能PET(福井医科大学高エネルギーセンター)を用いて頚髄グルコース代謝量を測定した。2)6台のビデオカメラを持つ3次元動作解析装置(Vicon 370,OxfordMetrics社)を用いて、両手指の各関節、手関節に張り付けた反射マーカーの自動運動に伴う様々の動きを解析した。3)同じ機材および床反力計(LG-6-4,AMTI社)を用いて歩行解析を行った。反射マーカーを体幹および四肢の主な部位に貼付し被験者に歩行路上を自由歩行させたときのデータを3次元動作解析ソフトで解析し、各関節角度、床反力、関節モーメント、時間距離因子を計測した。 【結果】1)頚髄症患者では健常人よりも頚髄グルコース代謝量は低く、これは日本整形外科学会頚髄症判定基準(スコア)と有意な関連があった。2)頚髄症患者では健常人に比べ、握り動作や手指のつまみ動作中の各関節の関節角度や角速度が有意に小さかった。3)頚髄症患者では健常人に比べ歩行速度、ステップ長、単脚支持時間、各床反力成分が小さくなり、重症例ほど立脚期の膝過伸展が見られた。これらの動作、歩行解析データも重症度と関連していた。 【考察】以上の結果から、頚髄グルコース代謝量、手関節や手指の動作時の関節角度や角速度、および歩行中の立脚期関節角度や床反力値はいずれも頚髄症の運動機能傷害を表す客観的な指標と成りうることが示唆された。今後は被験者数を増やし、動作中の経皮的酸素濃度測定、歩行中の関節モーメント解析なども加えることで、頚髄症の運動機能評価に有効で信頼性のある指標の確立を目指す予定である。
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