研究課題/領域番号 |
12832022
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
河村 守雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (30186150)
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研究分担者 |
河合 達志 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (60167351)
猪田 邦雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (10115529)
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キーワード | 実験的異所性骨化 / 骨形成因子 / 間接他動運動 / 運動負荷時期 / 病理組織学的検討 |
研究概要 |
粗製骨形成因子(BMP)を10mgずつAKRマウスの大腿四頭筋内に移植した。すべてに対し、体幹から移植肢にかけて、股関節伸展、膝関節伸展位でギプスで関節固定を施行した。これらのマウスを早期運動群、中期運動群、後期運動群の3群に分け、運動負荷時期による骨形成の違いを調べた。早期群には移植翌日から7日間、中期群には7日目〜14日目、後期群には14日目〜21日目に強制運動負荷を与えた。運動負荷は、持続的他動運動装置を用いて1日・20分間、膝関節・股関節を最大他動屈伸させ、その他の時間帯はギプスにて体幹から移植肢まで関節固定した。移植3週間目に、移植肢大腿四頭筋内にsoftexX-Pにて新生骨の形成を認めた。これらの移植部分を周囲の軟部組織とともにサンプリングし1,000℃で1時間焼灼し、新生骨の灰分重量を求めるとともに病理組織学的検討を行った。結果は早期群で5.8±1.8mg、中期群で2.6±1.8mg、後期群で4.4±3.2mgの灰分重量となり、早期運動群と中期運動群の間に有意水準5%の危険率で有意差が認められた。他の群間には有意差は認められなかった。病理組織学的検討では、多くのサンプルにおいて移植1週目にはBMP周辺部の筋組織に未分化の筋管細胞(myotube)が出現し、周辺の間葉組織が脱分化を呈している所見が認められた。また、早期運動群は後期運動群に比べBMP境界部の軟部組織の脱分化範囲が広い一方で軟骨組織への成熟度は低かった。移植21日目の組織像では早期運動群は、後期運動群に比べ骨化の範囲は広い一方骨への成熟度は低かった。いずれの群においても既に新生骨髄組織が形成され始めていた。 以上より、強制運動の負荷の時期が実験的異所性骨化の新生骨形成量に影響を与えることが判明した。また、病理組織的には運動時期が早いとBMPと周辺組織との密着性が低く広範囲に浸潤するために骨化の範囲が広くなり、強制運動負荷が遅いとその逆の現象が生じていると考えられた。
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