研究課題/領域番号 |
12832023
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
肥田 朋子 名古屋大学, 医学部, 助手 (20223050)
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研究分担者 |
猪田 邦雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (10115529)
水村 和枝 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (00109349)
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キーワード | アジュバント炎症ラット / 腰部交感神経刺激 / 血流増加反応 / ノルアドレナリン / α_1受容体 / α_2受容体 / サブスタンスP / NK-1受容体 |
研究概要 |
今年度は、慢性痛モデルの一つであるアジュバント炎症ラットを用いて、交感神経興奮による異常な血流増加反応にどのような作動物質が関与しているかを数種のアンタゴニストを使って解明した。交感神経興奮時に主に放出されるノルアドレナリン(NE)は、30〜100ng/kgの濃度を動脈内投与すると、交感神経興奮時と同じような血流増加反応が観察された。このことからカテコールアミンが関与している可能性が示唆された。カテコールアミンα_1受容体は血管収縮に関与しているとされているので、この受容体をブロックした上でα_2受容体の関与を調べた。その結果、α_1受容体をブロックしても血流増加反応は増大しなかったが、重ねてα_2受容体をブロックすると、血流増加反応は小さくなった。一方、α_2受容体のみをブロックしても血流増加反応は残存し、α_1受容体とα_2受容体の共同作用が示唆された。また、求心神経からの伝達物質であるサブスタンスP(SP)の関与についても検討したところ、アンタゴニスト投与により血流増加反応は減少した。交感神経節細胞ではSPを含有する細胞は報告されておらず、交感神経興奮において末端からSPが放出されているとすると、病態時に新たに発現したと考えられる。もしくは交感神経末端から放出されたNEが求心神経系に作用して、求心神経末端からSPを放出させ、血流を増加させた可能性が考えられる。いずれが関与しているかを調べるために、交感神経節細胞でSP含有細胞を免疫組織染色している段階であるが、まだ確定的ではなく、継続していきたい。また、最終目的である慢性痛モデルに温熱療法や寒冷療法を施行し、血流動態、足部の腫脹、疼痛刺激に対する行動に与える影響を探る実験につなげていきたい。
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