研究概要 |
平成12年度に引き続き,ヒトの大脳機能を非侵襲的に計測し機能障害と回復過程のメカニズムを明らかにすることを目的とし,脳の運動機能と感覚機能の両面から脳機能の評価に関する基礎的研究を行なった. 平成13年度は,(1)体性体性感覚脳反応の基礎的研究,(2)発声に関する脳反応を中心に研究し結果を報告した. (1)体性体性感覚脳反応の基礎的研究:特に体性感覚野の機能構築を明らかにした点で運動感覚障害と脳機能障害部位との対応,感覚障害と運動機能との関連など臨床的応用が期待される結果が得られた.また,これまでに体性感覚の脳反応として多くの知見が得られている体性感覚誘発脳波と最新の脳反応測定機器である脳磁計による体性感覚誘発脳磁場との反応成分の対応について明らかにした. (2)発声に関する脳反応:これまでにほとんど研究のない発声の関連する運動感覚脳活動は,構語障害のメカニズムとリハビリテーションを考える上で新しい知見を提供した.また,運動としての発声ばかりではなく,発声に至る高次脳機能(音の想起)に関する脳反応を初めて記録し,その初期の活動が前頭前回から島にかけての領域にあることを報告した.これらの知見は,失語や構語障害の臨床応用へ有用な基礎的知見と考えられる. これらの研究は全て英文国際雑誌に掲載され国内外の評価を得た.そのほか,近年国内で急速に発展しつつある脳磁場計測結果と従来の脳電位計測結果との対応を理論的に明らかにし,今後臨床面で普及すると考えられる脳磁場計測の理解に役立つ重要な知見を報告した.
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