研究課題/領域番号 |
12832033
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山本 晴康 愛媛大学, 医学部, 教授 (10092446)
|
研究分担者 |
川谷 義行 愛媛大学, 医学部, 講師 (60274320)
尾形 直則 愛媛大学, 医学部, 助手 (30291503)
|
キーワード | compression pressure / blood flow / posterior heel / diabetes / fracture / post-operation / ischemia |
研究概要 |
褥瘡の発生のメカニズムを検討するため、圧力センサーと血流センサーは重ねて貼付し、踵部の圧と血流の同時測定を行った。健常人での測定では安静仰臥位では踵骨部後面に約350mmHgの圧がかかっておりほとんど阻血状態であった。その後下肢を徐々に挙上していくと120mmHgあたりで血流は再開し始め、10-20mmHgでほぼ正常の半分の血流が得られることが判明した。30mmHgでは無荷重時の74%、10mmHgでは100%の血流が得られた。健常者の除圧時の踵部の血行は27.45±2.64ml/min/100g(n=5)であり、圧力が0になってから血行がmaximumに回復する時間は3秒前後であった。これと比較し、除圧時の踵部の血行は重度の糖尿病をもつ患者では一様に悪く、平均が18.25±6.04ml/min/100g(n=4)であり、健常人の半分以下である患者もいた。50mmHgの圧力でも糖尿病患者では10%以下に血流が低下してしまった。圧力が0になってから血行がmaximumに回復する時間は平均7.14秒であった。一方、片麻痺患者では健常人と比べ、患側でも除圧時の踵部の血行は26.25±12.2ml/min/100g(n=8)と比較的保たれていた。50mmHgの圧力では血流はmaximumの10%に落ち、圧力が0になってから血行がmaximumに回復する時間は平均6.15秒でやはり健常人と比較すると明らかに遅延していた。大腿骨頚部骨折に対して手術を行った患者5例では、踵部の最大血流量の平均は健側30.6ml/min/100g、患側30.2ml/min/100gで、健常者に比較し、低下は見られなかった。しかし、手術した側(患側)はしていない側(健側)に比べ、明らかに少ない圧力での血行障害が生じていた。また、踵部が完全に除圧されてから、血流が最大に回復されるまでの時間を調べた結果、健側は平均3.01±1.34(n=5)秒であるのに対して、患側は平均20秒近くかかっていた(19.44±2.35秒,n=5)。また、5例全ての症例で、患側肢では50mmHgの圧力で、血行がほとんど途絶えてしまっていた。術後安静を余儀なくされている症例では、圧迫により容易に血流障害を生じ、また、圧迫を除去されてからの血流の可塑性も低下していた。
|