研究概要 |
平成12年度の実施結果 仮想現実感(バーチャルリアリティー)を活用したバランス訓練システムの開発・試作 1) ハードウェア本体の製作:重心動揺計を用いて被検者の重心位置を逐次検出し,この二次元データを専用インターフェース回路を経由して大型ゲーム機(NAMCO製プロップサイクル)の画像処理装置に取り込み,リアルタイムで大画面ディスプレー上に表示して被験者の視覚にフィードバックするバランス訓練システムを試作した. 2) 動作確認:被検者が自らの上体を前後左右に動かす事によって,あたかも画面上の仮想空間内を実際に移動しているかのような現実感や没入感が得られる事を確認した. 3) 周辺機器の接続:広く社会に普及させる目的で,安価で入手容易な汎用ゲームマシン(ソニー製プレイステーション)を選択し,これを専用インターフェイス回路を介して家庭用テレビ画面に接続し,上記の大型業務用マシンと同様の画像表現が可能な事を確認した. 4) ソフトウェアの選択:提示用の仮想環境プログラムは,市販の複数の選択肢から任意に選択可能であり,被検者の身体機能や好みに応じて適切な訓練が可能である事を確認した. 5)今後期待される研究成果:健常者を対象とした基礎研究として,この訓練装置の生理学的影響(心拍数や皮膚温など)ならびに心理学的な影響(疲労や緊張感など)について調査し,安全性および有効性について検討する.最終的には,上記2種類のマシン(業務用および家庭用)と多様なソフトを駆使して,ゲーム性や没入感を最大に活用した動的バランス訓練を行う事により,訓練意欲が長期継続され,平衡機能や敏捷性が向上し,転倒予防や早期離床を促す新手法として大きな効果が得られる事が期待される.
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