研究概要 |
1.平成12年度実績「機能訓練システムの開発・製作」 重心動揺計を用いて被検者の重心位置を検出し,そのデータをインターフェースを介してパソコンに取り込み画像処理を行い,リアルタイムで大型ゲーム機(NAMCO製プロップサイクル)の大画面ディスプレー上に表示して視覚フィードバックする機能訓練システムを開発製作した.被検者は,自身の頭部や上体を前後左右に動かす事によって,あたかも画面上の仮想空間内を意のままに移動(飛行)しているかのような現実感が得られ,ゲーム感覚で下肢体幹の機能訓練が実施できる. 2.平成13年度実績「安全性と有効性に関する調査研究」 方法:健常成人男性6名(平均35.7歳)に機能訓練を行い,安全性と有効性について検討を加えた. 測定項目:表面筋電図(腹直筋,脊柱起立筋,大殿筋ほか8筋),3D動作解析(赤外線反射マーカーを頭頂部,第7頸椎,第1仙椎ほか5カ所に貼付),VASにて心理的影響を定量化,心拍数モニタ 結果1)頭部マーカー軌跡:座位訓練中の頭部移動レンジは,立位訓練の1.26〜1.22倍,みんなの体操(総務省郵政事業庁制定)の1.13〜1.16倍であった. 2)体幹傾斜の3D計測:座位訓練中の最大傾斜角度は,立位訓練の1.67〜1.44倍,みんなの体操の1.09〜1.34倍であった. 3)筋電図:座位訓練中の腹筋,背筋,大殿筋の最大筋放電量は,立位訓練の1.82倍,1.75倍,2.44倍,みんなの体操の4.17倍,0.86倍,2.99倍であった(積分筋電解析). 4)VAS:大多数の被験者から「楽しい,変化がある,続けたい」という評価を得た. 5)最高心拍数は,何れも100/minを越えない軽い運動強度であった(平均値:座位99.1,立位88.2). 考察:ゲーム感覚での機能訓練でも,みんなの体操を上回る身体活動が認められ,訓練効果が期待された.また座位訓練では骨盤位置が固定されているため,立位に比べて腹筋や背筋,大殿筋が活発に活動して体幹を各方向にダイナミックに傾斜・復元させている事が明らかとなった. 総括:本システムは,「安全な運動強度」の範囲内で,「楽しみながら」訓練の動機づけを行い,体幹のバランス,筋力,柔軟性の向上が期待される訓練装置であると考えられた.
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