研究課題/領域番号 |
12832040
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
江西 一成 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教授 (60315554)
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研究分担者 |
阿保 美樹子 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (20315550)
勘林 秀行 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (70250628)
田島 文博 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00227076)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | リハビリテーション / 脳血管障害 / 循環動態 / 起立負荷 / 肢位変化 |
研究概要 |
早期リハビリテーションの必要性が求められているが、理学療法の領域においては早期離床を進めるための確かな知見の乏しいのが現状であった。本研究では離床に伴う様々な負荷の下での循環動態を心担出量、心拍数、血圧を指標として観察し、そこから高齢障害者の循環動態を明らかにすることを目的とした。 まず、短時間の頸下浸水に対する心血管反応を観察した。その結果、若年健常者では頸下浸水による心拍出量の増加に対しても血圧を一定に保持していたが、高齢障害者では血圧上昇を認めた。これは高齢障害者では末梢血管抵抗の低下が不十分であったために生じ、その原因には循環器系の調節応答の障害あるいは血管自体が動脈硬化によって充分に応答できないためと考えられた。 次に、離床手段である起立方法について、「急に起こす場合」(急速立位)と、「ゆっくり起こす場合」(段階的立位)の違いを検討した。その結果、若年健常者では起立速度の違いによる循環器応答に大差を認めなかった。また慢性期脳血管障害者においても循環器応答に大差を認めず、若年健常者・脳血管障害者ともに起立負荷に対する血圧維持メカニズムはよく機能していた。しかし、段階的立位において、若年健常者は起立角度に対応した一回拍出量減少を認めたが、脳血管障害者では角度に依存しない一回拍出量の減少を認めた。つまり、起立負荷に対する血圧維持において、若年健常者では心拍数上昇による心拍出量回復に加え末梢血管抵抗の上昇が関与していたのに対して、脳血管障害者では主に前者だけの機能が関与していることが判明した。従って、脳血管障害者の起立において、従来いわれるような段階的に起こすことの利点は見いだせず、むしろ循環器応答を賦活する急速立位が有効である可能性が考えられた。 今後、高齢者や障害者の循環動態が解明され、臨床場面に有効活用されることが期待される。
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